技術に関するQ&A
【Q5】スケールと焼け取り法の種類| “ステンレスにより耐食性(つよさ)と輝きを”をモットーに、ステンレス表面の電解研磨、溶接焼け取りやさび・汚れ取りを、従来のように劇毒物を使用することなく、環境に優しく安全無害な薬液を用いる電解方式により取り除くための新製品を開発し続ける、少数精鋭の研究開発型企業。
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【Q5】スケールと焼け取り法の種類

スケールの違いに応じた選定をしましょう


【図4】加熱に伴うスケールの組成とCr量変化の模式図【解説】

 ステンレスの溶接や加熱に伴って生成するスケールの組成は、基本的にはFe2O3、FeO・Cr2O3、さらにCr2O3との組合せから構成され、その材種、加熱温度、雰囲気の組成等によって種々異なり、前記のCrの拡散現象に伴って、【図4】に示すように変化します。

 このような組成からなるステンレスのスケールは、共通して非常に緻密で堅く、炭素鋼に比べて簡単に除去することは困難です。またその組成と脱スケール法との組合せによってその難易度が大幅に違い、さらに相互の相性によって仕上がり度も異なるため、適切な方法を選ぶことが必要です。

1)機械的方法(研削法)

 ブラストやサンダー掛けなどが一般的であるが、何れも表面に傷がつくことと活性化する欠点があるため、脱スケール後は必ず不動態化処理を施すことが必要である。

2)化学的方法(酸洗法)

 「硝弗酸」が最も一般的であり、厚物ステンレスに対しては塩酸に硝酸を添加した「王水」が一部では使用されているが、何れも有害ガスの発生に注意すべきであり、また必ず硝酸を配合するか又は後処理として硝酸の中に浸漬することが必要である。※【写真5】参照

3)電気化学的方法(電解法)

 製鉄業界に於ては硝酸や硫酸を用いる電解法が古くから採用されてきたが、近年溶接業界では筆者が開発した中性塩電解法が安全無害なため広く普及して来た。

 電解法には直流法と交流法とがあり、直流法は陽極溶解と同時に陽極酸化による不動態化効果を伴うが、交流法は一般にステンレスに対する溶解力が極めて弱いことと、不動態化処理効果も全くなく、むしろこれを破壊するため、この欠点を補うような何らかの手段が施されない限りステンレスの焼け取り用としては適当でない。

 なおこの他に、筆者が開発した直流に交流を適当量重ねた交直重乗方式があり、仕上がり性改善のほかに、直流法に於ける不動態化反応と素材を溶かす溶解反応という相矛盾した両反応を促し、また後述のステンレスに特有の六価クロム発生の問題も回避されるなど、多くの特徴がある。(特許)※【写真6】参照

電子顕微鏡写真(SUS304)×1000