技術に関するQ&A
【Q4】焼け取りで重要な目的は何ですか?| “ステンレスにより耐食性(つよさ)と輝きを”をモットーに、ステンレス表面の電解研磨、溶接焼け取りやさび・汚れ取りを、従来のように劇毒物を使用することなく、環境に優しく安全無害な薬液を用いる電解方式により取り除くための新製品を開発し続ける、少数精鋭の研究開発型企業。
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【Q4】焼け取りで重要な目的は何ですか?

アンダースケール層の除去と不動態化です


【図3】加熱に伴うCr濃度分布の模式図【解説】

 溶接作業の後始末とも云うべき重要な脱スケール作業について、余り知られていない目的の一つに、アンダースケール(Cr欠乏)層の完全除去の問題があり、特にオーステナイト系ステンレスについては、重要で無視出来ない問題です。

 一般に、溶接に限らず加熱処理を施したステンレスのスケールの直下には、【図3】及び【図4】に示すように肉眼では判別出来ないアンダースケール層が形成されます。

 この現象は、加熱に伴うCrの拡散現象によってCrが表層部やスケール層へと移動する現象であり、またこれと同時に500~800℃に加熱されたり、この温度範囲を徐冷した部分では、前述の結晶粒界にCr炭化物が析出する通称鋭敏化現象の二つが重なることによるもので、条件次第によってはCrの含有量がステンレスの最低条件とされている約10.5%以下にまで低下することもあり、溶接周辺部は丁度この条件に当てはまるため、このようなアンダースケール層まで完全に取り除かない限り、ステンレス本来の組成の表面は現れないので、その材種固有の耐食性は望めないわけです。

 また、いま一つの目的としては、脱スケールに伴って如何に上記のアンダースケール層まで完全に除去したとしても、機械的手法や例えば塩酸のような還元性の酸を単独に用いると、不動態化効果は全く望めないため、少なくとも後述の硝弗酸による酸洗か、若しくは出来得れば直流電源の陽極反応に基づく電解焼け取り法のように、脱スケールと同時により強い不動態化効果を伴うような脱スケール法を選ぶべきです。