技術に関するQ&A
【Q12】スーパー不動態化膜って何?| “ステンレスにより耐食性(つよさ)と輝きを”をモットーに、ステンレス表面の電解研磨、溶接焼け取りやさび・汚れ取りを、従来のように劇毒物を使用することなく、環境に優しく安全無害な薬液を用いる電解方式により取り除くための新製品を開発し続ける、少数精鋭の研究開発型企業。
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【Q12】スーパー不動態化膜って何?

耐塩素孔食性が決め手の新規な不動態化膜


【解説】
ステンレス鋼の耐食性は金属材料自体によるものではなく、含まれているクロムを主体に、ニッケル、モリブデンなどの合金元素の種類とその含有量とに応じて、その表面に形成される極く薄い(ナノメーター単位)酸素系不動態化被膜の作用効果によるものです。

ところが、このような従来からの含酸素系不動態化被膜は、塩素や海水のような塩素イオンを含む溶液と接触したり、或は海から飛来するわずかな海塩粒子が付着するだけでも、容易に被膜が破壊されてさびを発生する欠点があり、さらにこれを起点として孔食やすき間腐食などの異状腐食や、またさらにこれに応力が加わると、遂には応力腐食割れ(SCC)などの損傷を招き、特に溶接周辺の熱影響部に於いては、クロム欠乏現象の問題とも重なって、フェライト化するなどオーステナイト系ステンレス鋼特有の宿命とも云うべき大きな欠点を抱えており、昨今ステンレスの急速な普及に伴う加工業者の認識不足も加わって、この種の腐食問題が最近特に目立つようになって来ました。【写真15】参照

【写真15】不動態皮膜の有無による孔食比較試験
【写真15】不動態皮膜の有無による孔食比較試験

 このような背景から、平成14年度広島県地域新産業創造促進法の適用を受け、その研究成果として、含フッ素中性電解液処理による被膜の耐孔食性の飛躍的改善を立証しました。これを「スーパー不動態化被膜」と称しています。  このメカニズムは、フッ素系不動態化被膜が酸素系不動態化被膜との複合効果により、さらに増強されたスーパー不動態化被膜を形成します。しかもステンレス表面だけではなく、1~数nm(10-9m)単位の内部まで浸透、拡散するため耐塩素孔食性が強化されます。

広島県西部工業技術センターの協力で行われたX線光電子分析ESCA法によるステンレス鋼の表面分析【図5】では、酸素以外にフッ素を検出、拡散したフッ素は合金元素のクロムやニッケルなどと結合したフッ化物の形態で存在することがわかっています。

【図5】スーパー不動態化処理法による処理前(2B材)と電解処理後の表層と0.6nm深部におけるフッ素と酸素のESCA法による比較
【図5】スーパー不動態化処理法による処理前(2B材)と電解処理後の表層と0.6nm深部におけるフッ素と酸素のESCA法による比較


スーパー不動態化処理法によってフッ素が内部まで浸透していることがわかる。