技術に関するQ&A
【Q1】ステンレスがさびにくいのはなぜですか?| “ステンレスにより耐食性(つよさ)と輝きを”をモットーに、ステンレス表面の電解研磨、溶接焼け取りやさび・汚れ取りを、従来のように劇毒物を使用することなく、環境に優しく安全無害な薬液を用いる電解方式により取り除くための新製品を開発し続ける、少数精鋭の研究開発型企業。
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【Q1】ステンレスがさびにくいのはなぜですか?

不動態化被膜のおかげです されど宿敵の塩分と鉄分にご用心

広島海島博のステンレス製シンボルタワー(溶接線を中心にさびが発生)【解説】

 ステンレス鋼が耐食性に優れている理由は、材質自体によるものではなく、その製造工程に於て表面に作られている不動態化被膜と呼ばれる目には見えない極く薄い被膜の作用によるものです。

 この被膜は、Crの含有量が約12%以上の合金(ステンレス)鋼を、熱硝酸中に一定時間浸漬することによって完全な被膜が形成されるもので、ステンレス鋼を製造するAP(アニ―リング&ピックリング)ラインの最後の重要な工程となっていますが、そのことについては一般的には余り知られていない陰の功労者なのです。
また、このように重大な使命を持つ不動態化被膜の生成条件についても、ステンレスメーカーでは15%以上、50~60℃の熱硝酸中に一定時間浸漬することではじめて被膜が形成されているのに対し、一部に於ては希硝酸溶液を常温で被処理物にスプレーや撒布するなどの方法が採られていますが、この程度では不動態化度の実測や孔食試験法での確認結果によると殆ど効果がなく、健全な不動態化被膜は形成されていないことについても、非破壊的に測定する方法がなかったことも手伝って一般にはよく知られておりません。

 このような不動態化被膜によって保護されているステンレスは、中性の水溶液や酸化性の酸液中では殆ど腐食は発生しませんが、ハロゲン元素、特に塩素イオンが存在すると、例えば海水のように中性の溶液中でもやがては被膜が急速に破壊されるため、この部分に穴(孔食)が発生したり、これにさらに引っ張りなどの力がかかると応力腐食割れが発生するなどの重大な問題を抱えており、海水や塩化物を取扱うプラントは勿論、海塩粒子の飛来する地域の構造物などで、溶接を伴う場合には特に注意が必要です。

 またその他では、ステンレスを溶接加工する現場に於ては、鉄製のワイヤブラシや工具類と接触させてそのまま放置すると、通称「もらい錆」と呼ばれているステンレス特有の錆が発生します。

 このように、ステンレスにとって塩分と鉄分は断ち切れない宿敵とも云うべき関係にあり、焼け取り作業を行なう上に於ても、一時市場に出回った塩化物を配合したり不純物として含有する電解液や、鉄製のワイヤブラシなどの使用は絶対に避けるべきです。
上の写真は、海塩粒子の飛来により、溶接部を中心に発錆する事実をよく示しています。
     (上記写真のタワーは、現在広島宇品港湾に移設されています。)